交通事故の損害賠償に時効はある?人身5年・物損3年の起算点と注意点をFP2級が解説

慰謝料・示談金
この記事の確認情報
最終更新日:2026年5月14日
制度改正対応:2026年5月時点の公的情報を確認済み
参考:警察庁・国土交通省・厚生労働省・日弁連・裁判所・各保険会社など
執筆:FP2級保有者/交通事故被害経験をもとに解説
制度や保険会社の運用は変更される場合があります。個別の判断は、弁護士・医師・保険会社などの専門機関へご相談ください。

最終更新日:2026年7月3日

交通事故のあと、治療や保険会社とのやり取りに追われていると、つい後回しになりやすいのが「時効」の話です。

「示談はいつまでにすればいいの?」「ずっと交渉していて大丈夫?」と不安を感じる方も少なくありません。

この記事では、交通事故の損害賠償請求にかかわる時効について、一般的な目安と確認したいポイントを、FP2級の運営者が整理しました。

※この記事は一般的な情報をまとめたものです。時効の判断は個別事情で大きく変わるため、最終的には弁護士や公的機関にご確認ください。

この記事で確認できること

  • 交通事故の損害賠償に時効があること、その年数の目安
  • 時効を「いつから」数えるか(起算点)の考え方
  • 自賠責への被害者請求の時効が別物であること
  • 時効が近いときに検討される対処法

交通事故の損害賠償請求には「時効」がある

交通事故の被害にあうと、加害者に対して治療費・慰謝料・休業損害などの損害賠償を請求できます(民法709条)。

ただし、この「請求できる権利(損害賠償請求権)」には期限があり、一定の期間を過ぎると請求が認められなくなることがあります。これが時効です。

通常どおり示談が進む事故では、時効が問題になることはあまり多くありません。一方で、交渉がもめて長引いたり、治療が長期化したりすると、気づかないうちに期限が近づくケースもあります。

事故後にもらえるお金の全体像が気になる方は、こちらもあわせてご覧ください。

👉 関連記事:[交通事故後にもらえるお金の種類|慰謝料・休業損害・治療費をFPが整理]

時効は何年?人身は5年・物損は3年が目安

2020年4月1日の民法改正により、ケガ(人身)の損害賠償請求権の時効は、従来の3年から5年に延長されました(民法724条の2)。

一般的な目安は次のとおりです。

損害の種類時効の目安根拠
ケガ・後遺障害など(人身)5年民法724条の2
車の修理代など(物損)3年民法724条1号
加害者が分からない場合事故から20年民法724条2号

なお、改正前(2020年3月31日まで)に起きた事故でも、改正日の時点で3年の時効が完成していなければ、人身は5年が適用されるとされています。

このあたりは適用関係が複雑なので、古い事故の場合はとくに弁護士への確認をおすすめします。

時効は「いつから」数える?起算点の考え方

時効は「損害および加害者を知った時」から数え始めるのが基本です(民法724条1号)。一般的な交通事故では、加害者がその場で分かるため、事故が起きた日の翌日からカウントが始まると考えられます。

ケガ(人身)の起算点

ケガの治療費・慰謝料などは、原則として事故発生日の翌日が起算点とされます。

後遺障害部分の起算点

後遺障害に関する損害は、実務上、症状固定日を起算点とする考え方もあります。ただし起算点をめぐって加害者側と争いになる可能性もあるため、一般的には早めに動いておくほうが安心とされています。

症状固定の意味や打ち切りを言われたときの考え方は、こちらで整理しています。

👉 関連記事:[症状固定とは?治療打ち切りを言われたときの確認ポイント]

なお、症状固定までの通院が長引くと、肩や首の負担も気になりやすくなります。私自身、通院中はネックサポーターや低反発枕で姿勢をラクにする工夫をしていました。ただし、固定や安静の要否は症状によって異なるため、使用前に担当医にご確認ください。

物損・死亡の起算点

車の修理代などの物損は、事故発生日の翌日から3年が目安です。死亡事故の場合は、亡くなった日の翌日が起算点とされています。

自賠責への「被害者請求」は時効3年|混同に注意

ここは見落とされやすいポイントです。

加害者(任意保険)に対する損害賠償請求の時効が人身5年なのに対し、加害者側の自賠責保険へ直接請求する「被害者請求」の時効は、原則3年とされています。

つまり、同じ事故でも「誰に・どの権利で請求するか」によって期限が変わります。加害者が任意保険に入っていない場合などは、自賠責への被害者請求が中心になるため、3年の期限をとくに意識しておきたいところです。

相手が無保険だったときの対応は、こちらでまとめています。

👉 関連記事:[交通事故の相手が無保険だった場合の補償と確認すべき対処法]

ひき逃げ・加害者が分からないときは?

当て逃げやひき逃げで加害者が特定できない場合は、事故発生日の翌日から20年が一つの期限とされています。その後の捜査で加害者が判明したときは、判明日を起算点として、人身5年・物損3年の時効が適用される、という考え方が一般的です。

加害者が分からないケースでは、ドライブレコーダーの映像が状況を示す手がかりになることもあります。事故対策としてドラレコを検討している方は、こちらも参考にしてください

👉 関連記事:[事故対策で確認したいドライブレコーダー5選|選び方と注意点]

時効が近いときに検討される対処法

交渉が長引いて期限が迫ってきた場合、時効の完成を一時的に止めたり、リセットしたりする仕組みがあります。

内容証明での請求(催告)

加害者側へ請求書を内容証明郵便で送ると、その時から6か月間は時効が完成しない(完成猶予)とされています。ただし、繰り返しても延長はできず、原則1回限りと考えられています。

訴訟(裁判上の請求)

裁判を起こすと、その手続きが終わるまで時効は完成しません。判決や和解が確定すれば時効が更新され、新たな期間(一般的には10年)がスタートするとされています。

協議の合意・承認

書面で協議を続ける合意をした場合や、加害者側が賠償義務を認めた場合(保険会社が治療費を支払っている場合などを含むことがある)は、時効の猶予や更新につながることがあります。

なお、時効は加害者側が「援用(主張)」しなければ成立しないとされています(民法145条)。期限を過ぎたように見えても、あきらめずに専門家へ相談する価値があります。

時効が近づいているか不安な方は、早めに状況を整理しておくと安心です。弁護士に相談するタイミングの目安は、こちらでまとめています。

👉 関連記事:[交通事故で弁護士に相談するタイミング|早めに確認したい3つのケース]


【まずは状況の整理から】
「自分の事故はあと何年なのか」「示談を急ぐべきか」が分からないときは、弁護士に相談するタイミングを確認しておくと安心です。弁護士費用特約が使えれば、自己負担を抑えて相談できるケースもあります。
👉 交通事故で弁護士に相談するタイミングを確認する


注意点

  • 時効の年数・起算点はあくまで一般的な目安で、個別の事情で変わります。
  • 「人身5年」と「自賠責の被害者請求3年」は別物なので、混同しないよう注意が必要です。
  • 古い事故・加害者不明の事故・後遺障害がある事故は、判断が複雑になりやすいため、自己判断せず専門家に確認するのが安心です。

よくある質問

Q1. 時効を過ぎたら、もう一切請求できませんか?
時効は加害者側が主張して初めて成立するとされています。期限を過ぎたように見えても、状況によっては請求できる可能性があるため、まずは弁護士に確認することをおすすめします。

Q2. 示談交渉中は時効が進まないのですか?
交渉しているだけでは、時効は進み続けると考えられています。交渉が長引きそうなときは、内容証明や訴訟などで完成を止める手続きを検討するのが一般的です。

Q3. 後遺障害が後から出た場合はどうなりますか?
後遺障害に関する損害は症状固定日を起算点とする考え方もありますが、争いになることもあります。ケースによって異なるため、早めの確認が安心です。

Q4. 物損と人身、どちらの期限を優先して見ればいいですか?
物損は3年と短めなので、車の修理代などを請求する場合は、まず物損の期限を意識しておくとよいでしょう。

まとめ

  • 交通事故の損害賠償請求には時効があり、人身は5年・物損は3年が一般的な目安
  • 数え始めるのは「損害と加害者を知った時」(多くは事故日翌日)
  • 自賠責への被害者請求は3年で、損害賠償請求の時効とは別物
  • 時効が近いときは、内容証明や訴訟で完成を止める方法がある

時効を意識しすぎて焦った示談に応じると、かえって受け取れる金額が下がることもあります。期限を正しく把握したうえで、落ち着いて進めることが大切です。


【事故をきっかけに、保険の補償も見直しを】
時効や示談の不安は、いざというときの補償が十分かどうかにもつながります。弁護士費用特約や人身傷害の金額を、この機会に確認してみてはいかがでしょうか。
複数社の自動車保険をまとめて比較できる無料サービスもあります。
👉 [自動車保険の一括見積もり(インズウェブ)はこちら]

あわせて読みたい:[交通事故をきっかけに保険を見直す理由|確認したい補償とは] / [【保存版】自動車保険見直し完全ガイド|家族がいる世帯主が確認すべき5つのポイント]


参考: 法務省、e-Gov法令検索(民法)、日本弁護士連合会 など

この記事は一般的な情報であり、個別の判断は弁護士・医師・保険会社・公的機関に確認してください。治療やグッズの使用については担当医にご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました